France / Languedoc
DOMAINE DE CLOVALLON ドメーヌ・ド・クロヴァロン
· Les Pomaredes 2020 レ・ポマレード
品種 ピノ・ノワール
赤 750ml
1989 年に植樹された、標高 300m、北向きの 1.5 ヘクタールの単一区画「レ・ポマレー ド」に由来するピノ・ノワールのキュヴェ。
アペラシオン: IGP pays de l’Herault IGP ペイ・デ・レロー
醸造について: 早朝に手摘みで収穫したブドウを畑と醸造所で各 1 回ずつ選果。除梗 せずに 100%全房で発酵。ブドウに付着している野生酵母のみで、円錐形の木製の発酵 槽で発酵させる。酵素や培養酵母、酒石酸、濃縮物、矯正剤、安定剤などの醸造添加 物は一切付け加えずに醸造。マセラションはアンフュージョンでソフトに行う。圧搾後、引き 続き木製の円錐形のタンクでマロラクティック発酵と熟成。熟成中はバトナージュも澱引き を行わず、無清澄・無濾過で瓶詰め。
2020 年の収穫日は 9 月 21 日。SO2 は醸造中も瓶詰め時も無添加。2022 年 7 月 実施の分析では SO2 は検出されず。アルコール度数 12.5 度。総生産量は 4,000 本。
味わいのコメント: 濃いチェリーレッドの色合い。スグリやスモモ、ラズベリーやレッドベリーな どの心地良い香り。柔らかいアタックで、フィネスのあるエレガントな口中には、スミレやスグリ、 ザクロなどのニュアンスが感じられる。フィニッシュも非常にエレガントで、ブドウの皮のジューシ ーな旨味が余韻に広がる。
レ・ポマレードとは、19 世紀のラングドックに存在したロビン・フッドのようなアウトロー(法の保護外の 者)的人物で、貴族の富を奪って貧しい人々を助ける義賊となって活躍した。このロビン・フッドの 隠れ家が、この区画の中にあり、また、ピノを植樹した当時、ピノ・ノワールはヴァン・ド・ペイの指定品 種に認定されていなかった、つまりアウトローであったため、キュヴェと区画の名前が「レ・ポマレード」と 命名されました。
(インポーター資料より)
DOMAINE DE CLOVALLON / Les Pomaredes 2020
ドメーヌ・ド・クロヴァロンは Catherine Roque カトリーヌ・ロックによって 1985 年に創設 されました。建築家をしていたカトリーヌは、フォジェールの北隣の村 Bedarieux ベタリュー に畑付きの自宅を 1985 年に購入。ブドウ栽培とワイン造りを独学で学びながらドメーヌの 経営を始めました。当時、畑にはアラモンといったラングドックの大量生産用のブドウが植え られていましたが、ドメーヌは標高 250~400 メートルの高地で、ラングドックでも冷涼なミ クロクリマで、畑は北向きの緩やかな斜面に位置していました。このため、南仏の品種よりも、 冷涼は気候の品種が向くと直感したカトリーヌは、1985 年にシャルドネ、1988 年にヴィオ ニエ、1989 年にはピノ・ノワ-ルを植樹していきました。ヴィオニエなどは、ドメーヌ・ジョルジ ュ・ヴェルネイの畑に出向き、穂木を譲り受けてドメーヌの畑に植樹するほどの情熱を傾けて 栽培を始めました。また、ピノ・ノワールに関しては、ラングドックで初めてピノ・ノワールが植 樹したのが、ドメーヌ・ド・クロヴァロンでした。というのも、当時、まだピノ・ノワールはヴァン・ ド・ペイ・ドックの指定品種に認定されていなかったのです。自身の畑におけるピノ・ノワール の可能性を信じたカトリーヌは、INAO に陳情を働きかけ、最初は実験という名目で許可 を得てピノ・ノワールを栽培していきました。その後、ドメーヌで栽培されたピノ・ノワールから 造られたワインの品質の高さが認められたことによって、ピノ・ノワールはヴァン・ド・ペイ・ドック の品種として正式に INAO に認められるようになったのです。つまりカトリーヌは南仏のピノ・ ノワールのパイオニアであり、母である存在なのです。
現在の栽培面積は 11ha で赤ワイン用 2 品種、白ワイン用 8 品種が栽培されています。畑は品種毎 11 区画に分かれ、1ha超える区画はピノ・ノワールの 2 区画とヴィオニエの 1 区画のみで、その他は全て 1ha 以下の小さな区画になっています。ドメーヌ のブドウ畑は北向きのすり鉢状になっています。ちょうど谷の出口に位置するため、標高 1000m に達する Monts de L'Orb オルブ山と、Larzac ラルザック台地から冷たい空気 が吹き付けてきます。また、畑の南には石灰岩の断崖があって、ブドウ畑を海からの暑い空 気から遮断しています。こうして、北の品種に向いた冷涼なミクロクリマが形成されているの です。一方、この畑の南側にある石灰岩の断崖が巨大な貯水槽の役目も果たしているた め、地中 7~10mにある母岩の上を地下水が流れ、ブドウ木に安定的に水分が補給さ れます。ピノ・ノワールは特に水のストレスに非常に敏感であるため、栽培に最適な環境が 揃っているというわけです。また、畑の地質は、この地域では珍しいマグネシウムが豊富なド ロマイト石灰岩土壌の地層であるため、豊かなミネラルがワインに表現されることも大きな 特徴です。ドメーヌ名の Clovallon クロヴァロンとは、南仏の方言で「谷あいの窪地」を意 味します。設立当時、ドメーヌの建物があった場所が、谷あいの窪地に位置していたためこ の名前が付けられました。2016 年からは、イタリアのアンジェロ・ガヤ、タスマニアのステファ ノ・ルビアナ、スイスのビオディナミの大御所マリー=テレーズ・シャパーズなどで修行したカトリ ーヌの娘の Alix アリックスがドメーヌの全権を任され、新たな取り組みを始めています。
*ドロマイト:珊瑚などの生物が海底に堆積して石灰岩になった後、カルシウムの一部が海水中のマグネシウム で置き換わって生成した生物由来の鉱石。天然のミネラル素材で、カルシウムとマグネシウムが 2 対 1 の理想 的なバランスで含まれている。
ドメーヌでは設立当初よりビオロジックを実践していました。その後、2000 年に完全なビ オディナミへと移行し、全ての畑でビオディナミによるブドウ栽培を行い、ドメーヌの全てのワイ ンが厳格なデメテールの認証を受けています。
植樹比率は1ha 当たり 6000 本で、収量のコントロールは剪定段階で行っています。 剪定の際、極めて短小に剪定に行うことによって収量が増えないよう調整しています。通 常、剪定がうまくいけば想定した収量に誘因できるため、基本的にグリーン・ハーヴェストは 行いません。しかし、芽かきは、翌年の剪定をやり易くしてくれるため、実施しています。摘 芯は行いませんが、「Tricotage トリコタージュ」という、ブルゴーニュのドメーヌ・ルロワでも行 われている手法が取られています。これは枝先を切らずに伸びた枝を巻きつけて編んでいく 手法で、ブドウが色付きの段階で行っています。
除葉は基本的には行いませんが、9 月の段階でブドウの成熟が遅い場合は行っていま す。収量は品種や区画によって異なりますが、1ha 当たり 25 ヘクトリットルを超えることは ありません。畑の耕作は年 2 回行います。冬場はつるはしを使って手作業で、もう一回は ブドウの芽から綿毛が出た頃からブドウが結実する間の時期に馬を使って行っています。耕 作と同時に、ブドウ木と競合関係になってしまう不要な雑草を取り除いています。除草剤 は一切使用していません。また、ヤギの糞を使った堆肥やビオディナミの調剤をコンポストと して畑に撒いています。
* Tricotage トリコタージュについて 摘芯は、結実した実により養分がいくように、また伸 びていく枝が他の葉に影を作ったり、絡まって風通し が悪くなったりするのを避けるために、不必要な枝先 を切る作業です。しかし最近は、伸びていく枝先こそ がブドウの糖分を作るのに役立っていると考えられて おり、ブルゴーニュのドメーヌ・ルロワのように摘芯をし ない造り手が増えています。これらの造り手が、摘芯 をしない代わりに行っているのが「トリコタージュ(フラ ンス語で「編む」という意味)」です。これは、糖質を 作る枝先を切らずに、枝が影を作らないように伸び た枝を巻きつけて編んでいく作業です。
収穫は昼の暑い時間帯を避け、早朝に行います。全て手摘みで行います。ブドウが潰 れないように、収穫したブドウは小さなケースに入れて醸造所まで運ばれます。選果は収 穫直後に畑で 1 回、さらに醸造所に運んで醸造する前に 1 回、合計 2 回行われます。 醸造はブドウに付着している野生酵母のみで行い、他のいかなるものも加えません。SO2も無添加(もしくは必要最低限のみ添加)。ピノ・ノワールのキュヴェは、除梗せずに全房 で発酵を行います(キュヴェに応じて 50%前後除梗する場合もある)。発酵はステンレス タンクもしくは円錐形の木製の発酵槽で行われます。発酵温度は 25~28 度の低温で行 います。醸しに関しては、果汁を均質化するために発酵の最初の段階でポンピングオーバ ーを 1 回のみ行います。その後、アルコール発酵の期間中は 1 日 2~3 回のデレスタージ ュを実施します。ピジャージュは頻繁には行わず、発酵の最終段階で 1 日 1 回の実施に 留めます。発酵期間は 5 日から 7 日。キュヴェゾンの期間は約 3~4 週間です。圧搾後、 バリック(マス・ダルゾンの白ワインの熟成に使用した 1~3 年樽)又は円錐形の木製タン クでマロラクティック発酵と熟成を行います。
ドメーヌではフレッシュ感とタンニンの繊細さ、ブドウに備わっている複雑な香りを引き出す ナチュラルな醸造を行っており、過剰なアルコール度や力強さなどは追求していません。ドメ ーヌは 2017 年からナチュラルワインのイベント「Raw Wine Fair」に参加しています。]
(インポーター資料より)